【A】
リモートワークの普及は、日本の伝統的な職場環境が前提としていた「同じ時間と空間を共有することで生まれるあうんの呼吸」を過去のものとした。これからの組織マネジメントにおいて求められるのは、職務内容と成果の評価基準を明確に定義する「ジョブ型(成果主義)」への完全な移行である。プロセスの見えない在宅勤務においては、拘束時間ではなく「何を成し遂げたか」のみが公正な評価の指標となり得る。時間管理という前世紀の遺物から脱却し、個人のパフォーマンスを最大化する評価制度を導入することこそが、停滞する日本企業の競争力を回復させる唯一の道である。
【B】
在宅勤務という孤独な作業環境が広がる今だからこそ、企業は労働者を業務内容だけで切り分ける「ジョブ型」の導入に慎重であるべきだ。日本型雇用の強みは、職務を限定せず組織全体で柔軟に助け合う「メンバーシップ型」の連帯感にこそあった。リモートワークによって組織への帰属意識やインフォーマルなコミュニケーションが希薄化している現代において、成果のみを厳格に問う評価制度は、社員間の孤立と過度な個人主義を助長し、中長期的な組織の創造性を損なう恐れがある。今必要なのは制度の破壊ではなく、デジタルの網の目を通じていかに心理的安全性を確保し、チームとしての協働関係を維持するかという視点だ。